まさかの「慢性骨髄性白血病」夫を支える妻blog

がん罹患者の家族のblogです。

遠隔診療が現実化しつつあるという記事を読んで。

私は割と早くからスマートフォンを使い始めました。ツイッターをしてみたい、という理由からでした。それは勝間和代さんの書籍の影響でした。思い出深い愛機なので、大切に保管してあります。2009年初秋。3GSが発売されて間もない時期で、同僚の中でただ一人のiphoneユーザーだった男性に親切に使い方を教えて貰いました。

iPhone 3GS - Wikipedia

この、ころんとしたフォルムがかわいくて好きでした。

そして、手のひらでいろんな情報にアクセスできることが楽しくて、そしてツイッターFacebookなどなど、見知らぬ人とつながれる楽しさにも虜になりました。

夫の転勤で見知らぬ土地に移り住んだ私は、このiphoneの小さな画面から、たくさんの友情を得ることが出来ました。

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あの頃は、SNSなどに拒否反応を示す同年代も多かったので、逆にネットでつながる人たちは「拒否反応を持たない好奇心旺盛組」だったのかもしれません。

 

いつの間にか身の回りの多くの人がスマホユーザーになりました。

逆に「そんなに機能は必要ない」と格安スマホへ乗り換える人の話も聞くようになりました。時代はどんどんと変わっていくのね、と実感する今日この頃。

そんな時に、遠隔診療が現実化しつつある、という記事を読んだのです。

 スマートフォンなどの端末に、何を期待するのか。それを考えるきっかけにもなりました。

遠隔診療って、もう未来の話じゃないのね。

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夫に付き添って、あるいは義母に付き添って、私は通院地獄(言い過ぎかな)を実感しています。

夫は慢性骨髄性白血病の治療のため、週に一度の通院をしていますが、その為に勤務体制を調節しています。土日が休みでしたが、平日に一日休みをもらい、土日のどちらかを出勤しています。そして、平日休みの半日は「通院」のために時間を割くことになりました。検査のために3~6本ほど血液を採り(夫は時折、献血してるみたいだと言います)その結果が出るまで一時間ちょっと、待たされる時には、午後診察であるにもかかわらず、2時間近く待合室にいることも。

 

義母の場合、我が家から片道50分程度の場所に住んでいるのですが、車を運転しないので、私が送迎しています。

迎えに行って、病院へ連れて行って診察して、また自宅へ送って行って自宅へ帰る。朝の6時45分ごろに家を出て、全てを終えて自宅へ戻るのは午後12時から時には14時ごろ。

退院直後は1~2週間に一度、現在は3か月に一度の通院があり、私は通院の日に合わせて希望休をとり、送迎しています。

 

そんな我が家には「遠隔診療」が明るい未来をもたらしてくれるかもしれません。

 

これらの通院の多くを遠隔診療で行うことができるなら、自宅で採血は出来ないかもしれませんが、ちょっとした体調の変化を伝えたり、服薬報告をしたり、例えば「湿疹」や「出血」などの状態を画像で診てもらって診察が必要かどうかを判断してもらって、必要なら予約を入れてもらう、なども簡単にできるのではないでしょうか。

ウェアラブル端末やテレビ電話などで、遠隔診療が出来るのであれば、「病気を治療しながら働き続ける」ことも、今よりずっと容易になることでしょう。

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遠隔診療がもたらす「恩恵」は医療関係者と患者では捉え方が違うかもしれません。

私はこの記事を読んで、この考え方が「治療」のみならず「予防」や「健康管理」にも活かされる時代がもうすぐそこまで来ている、と確信しました。

診療報酬などの難しい問題が絡まないことを考えると、予防や健康管理の方が早く現実化するかもしれません。健康管理を継続して受けていて問題がなければ、生命保険に「リスクの少ない群」として割引サービスも受けられるようになるかもしれません。

 

そして、私は自分の仕事のことを考えると、また違う「不安」に襲われてしまいました。

これからの生命保険はどうなる?

遠隔診療は素晴らしいと思う。けれど。加入している生命保険はどうなるでしょうか。

例えば、入院給付金

これは入院しないと受け取れません。

仕事をしながら遠隔治療を受ける場合には、ほぼほぼ支払い対象にはなり得ない、とすると、今までなら「入院治療」をしていた患者さんが「在宅治療」できることになると、給付金は受け取れないことになります。

現在でも、慢性骨髄性白血病の治療をする方の中には、「通院のみ」で治療をする方もいると聞きます。従来の生命保険、医療保険がん保険では支払い対象にならないことも、実は多いのです。

例えば、通院給付金

そもそも、医療保険の通院給付金は「入院ありき」なので、入院をせずに通院のみで治療ができる時代が来たら。いったいどうなるのでしょう。

「知ること」の大切さと怖さ

一気にすべての治療が「遠隔診療」になるとは思いませんが、過渡期にありがちな「恩恵から漏れてしまうケース」に我が家が該当してしまう気がして怖くなります。

がんなどになってしまうと、生命保険の見直しはとても難しくなるのが現実なのです。生命保険に頼らずに治療費を支払い続けることができるでしょうか。世の中には社棋院をして医療費を支払う人もいるという話も聞きます。考えれば考えるほど、恐ろしくなってしまいます。

「一生涯飲み続ける」と言われる抗がん剤は高額で経済的・心理的負担も大きいものです。

治療がスタートしたときには診断給付金を受け取ることができる場合もあるかもしれませんが、治療が長引いて治療効果があって症状が安定していれば入院しないまま、お薬代・検査代を支払い続けることも多いと聞きます。

生きていればいいじゃないか、働けるならいいじゃないか、という考え方もあるかもしれません。

進行性のがんであり、この薬を飲み続けることで進行を抑える、要するにこの薬を飲み続けなければ生きていけないと言われるのであれば、それは医療費という「命のローン」を希望もしていないのに背負うことになったといっても過言ではありません。

新しい薬の登場などで「死なない病気」になったことで、患者の経済的な負担が過大になり「死にたくなるような気持ち」になってしまうのであれば、それは何かしらの対策が必要なのではないでしょうか。

世の中にはいろいろな病気があります。がんではありませんが、高額な注射をすることで、「いつもと変わらない生活」が送れるということで、毎月3万円ほどの治療費の出費がある、という方の話を聞きましたが、「子供たちの学資保険を支払うのも大変なのに」という言葉に胸が痛くなりました。

 

これからの時代、きっと一気に大きく変化するのでしょう。

スマートフォンなどの端末の進化と、個人情報や診療報酬などの法律や経済的な問題の整備、そしてこれから高齢者が増えていく(治療が必要な人々の増加)という問題もあります。

その治療を引き受ける医療関係者(働く世代)の減少がある一方で、医療の進歩で「早い時期での病気の発見」=患者の増加も問題になっていくのでしょう。

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でも、不安に思ってばかりでは前へ進めません。新しい技術や新しい仕組みに希望を抱いて、生きていきたい。そう思って、毎日を大切に生きていこうと思います。