まさかの「慢性骨髄性白血病」

慢性骨髄性白血病の夫を見守る妻のブログ

「慢性骨髄性白血病」の告知を受けた日

2017.5.18木曜日 晴れ

病名告知の日。

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朝から落ち着かないまま、M病院の予約の午後3時に病院へ向かう。

初夏の爽やかな風が吹いていたが、気持ちいいとは思わなかった。M病院へ着くと、夫から着信。「今着いたよ」と言うと、内科の前のベンチで待っていると言う。

ハンカチを持っていくつもりだったけど、出かけるときにバッグに入れ忘れてしまい、売店でミニタオルを購入。待合室の夫にそう言うと「泣く予定なの?」とニヤリ。

正直なところ、泣きそうな気分であることは否定できなかった。

 

振り返ってみると、我が家はM病院とは縁があるようだ。

私は妊娠出産は妊娠悪阻と前置胎盤で妊娠期間のほとんどを病院で過ごした。

夫の祖母が交通事故に会った時に運ばれたのもこの病院だ。夫は自分は祖父母に抱かれて育ったので、自分の代わりに世話をしてほしい、と言ったので私はその役目を引き受けた。

先日、主人の母が救急車で運ばれて入院したのも、このM病院である。主人の母が退院すると、次はわが夫がどうやらがんの告知を受けるらしい。私は「お世話をする運命」の星の下に生まれたのだろうか。

夫は治療に支障が出そうな持病もある。

尿管結石や狭心症などで入院したり、糖尿病や脂質異常もあり投薬治療が続いている。

息子は小さなころにはぜんそくで入院をすることが多く、中学生の時には外傷で入院手術。その手術が失敗だったようで再手術のための入院。そして急性盲腸炎で入院。

 

考えてみると、体力がないと言われる私が一番、入院などのトラブルが少ない。

 

そんな話をしながら待合室で呼ばれるのを待つ。嫌な時間だった。10分ほど待って名前を呼ばれた。歩きだしながら心拍数が上がるのを自覚した。ドキドキドキ。まったくもって私は小心者である。

 

なかなか病名を言わないドクター

病名の告知と今後の治療についての話をするために呼ばれたとはいえ、さすがに着座してすぐに病名をズバリと言われるとは思わなかったけれど、受診の経過から長々と説明を始めたドクターに少し驚いた。

 

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これらの検査結果からこのような病態を心配してこのような検査を行い・・・・と言うような説明が続き、私の心の中には(もしかしたらいろいろと心配したけれど、心配しなくても大丈夫だったというような顛末になるのかも)という淡い期待が生まれた。

しかしながら、入室した際にちらりと見えたPC画面には「化学療法の同意書」が表示されていた。夫のモノなのか、前の感謝さんのモノなのかは分からないが、この病室では血液のがんの告知が日常的に行われている、そんな場所なのだと実感した。

 

かかりつけ医が心配して以来、白血球が増加し、血小板も増加している。M病院での数回の検査でも検査数値は異常値のまま。

2016年の8月は検査結果が正常であったことが糖尿病のかかりつけ医の血液検査で分かっているので、発症してからあまり多くの時間は経過していないと考えてよい、ということだった。

そして、だんだんと血液検査の中身についても説明が始まり、かなりの予習をしていた私でも単語が理解できないことが多い説明となり、bcr-ableの説明になり、フィッシュ検査の結果が示され、

「これらの検査結果から、慢性骨髄性白血病であると診断します」

と、がん告知された。

隣で夫は、はい、はい、と説明を聞いていたが、「そうですか」と言った。彼のきっと密かにそうでないことを願っていただろうと思う。

予想していたこととはいえ、やはりがん告知はショックだった。涙は出なかった。全く自覚症状もなく、いつも通りの夫が病気だと言われても、なんだか実感がないのだ。

頭では病気であることは理解できても、気持ちで納得しているわけではない。

慢性骨髄性白血病

治療の説明は、私がネットで情報収集したそのままがドクターの口から語られた。

現在は慢性期であり、進行性のがんなのでここから移行期、急性期へと移行させないことが大切である。投薬によって管理ができる病気なので、きちんと薬を飲めば普通の生活が可能。(この説明については少しばかり思うところがあったが・・・)

 

第一選択薬としてはグリベック

もしかすると、糖尿病が悪化してインシュリン注射をするようなことになるかもしれない、という話もされた。夫はどのように感じたのだろう。

家に帰って確かめてみると

「ああ、そんなことも言ってたね。」などと言う。

一生飲み続けないといけないって言ってたね、というと、それは覚えてない、という。

彼にとっては「2週間程度の入院」を言い渡されたことが一番のショックだったらしい。

 

夫の会社は組織改編があり、今はとても忙しい。

ドクターは淡々と説明を続け、

「出来るだけ早く投薬治療をはじめましょう。明日からでも入院を受け入れる体制は整えてあります。」

と言った。それを聞いて初めて、隣の夫の体に緊張が走るのを感じた。

慢性期とは言え、治療はすぐに始めたい、ということなのだろう。夫は入院治療になるとは思っていなかったらしい。私自身も、ネットで以下のような情報収集をしていたので、入院するように言われるとは思っていなかった。

治療を受けるには、入院が必要ですか? みんなのQ&A CMLステーション ノバルティス ファーマ株式会社

最近は患者さんにCMLの治療上問題となる持病や合併症がなければ、外来にてお薬の導入を行い、治療することが多くなりました。入院で治療するか外来で治療するかは、患者さんの体調や年齢、CMLの状態により異なりますので、主治医にご相談ください。

 

6月6日以降の入院を願い出たところ、ドクターは黙ったまま何も言わない。夫も何も言わない。重苦しい沈黙が続いた。

 

そういえば、夫からこんな話を聞いていた。

 

検査結果の説明を「自分だけで良い」と話したときのことだった。

「家族も一緒に」とドクターに言われ、夫婦お互いに忙しいために二人一緒の時間を作るのが難しいので、説明を聞くのは自分だけで良い、と言ったらドクターが黙り込んでしまって困ってしまった、と。

 

このだんまり攻撃はすごいな。こっちが行動を起こさざるを得なくなる。

 

押したり引いたりと、話し合った末、きちんと検査に通うこととと検査結果が悪かったら即入院することを条件に、入院は6月1日から、と言うことになった。

 

持病があるので、投薬は低用量からのスタートになる、と言われた。治療上問題がある合併症があるため慎重に対応するということだった。

 

我が家はオープンな家庭なので、息子にもある程度のことは説明した。抗がん剤での投薬治療になると話すと、息子は即座に「禿げるの?」と聞いてきた。

私は思わず笑ってしまい、分子標的薬だから禿げることはないと思うよ、と言うと息子はほっとした様子だった。

高校生男子にとって、抗がん剤イコール髪が抜ける、というイメージなのだろう。

 

息子よ、もしも抗がん剤で髪が抜けても治療が終わればまた髪は生えてくるから心配無用だよ。副作用は白髪になるということがあると書かれていた。

 

そして、息子は「それさぁ、遺伝するの?」と聞いてきた。

CMLは、何らかの原因(原因は特定されていません)によりBCR-ABL遺伝子という異常な遺伝子が生成することで発症する病気であり、遺伝することはありません。また、細菌やウイルスによる病気ではないので、他の人にうつるということもありません。

 

遺伝はしない、と話すと安心した様子だったが、私はここぞとばかりに「これから治療費がかかるから、大学は国立でお願いしたい」と言ってみた。さすがの息子も何とか頑張ると言ってくれた。

どんな動機でもよいので、受験生は勉学に励んでくれたまえ。